世界一堅い発酵食品は鰹節?堅さの秘密は120日間の工程にあり!
世界一堅い発酵食品は鰹節?堅さの秘密は120日間の工程にあり!
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「世界一硬い発酵食品」とは何なのかご存知でしょうか。実は、出し汁や冷や奴をはじめ、お浸し、おにぎりなどのトッピングとして日本の食事にかかせない「鰹節」が世界一硬い発酵食品と言われています。一般的に販売されているのは削られたものですが、削る前の状態だと、カンカンと拍子木のように高らかな乾いた音を楽しめるほどの硬さがあります。鰹節の堅さの秘密である製造工程を紹介いたしますので、ぜひチェックしてみてください。
目次
鰹節の歴史
鰹節の歴史は古く、原型ができたのは3世紀中頃と言われています。当初は鰹を素干しにした「堅魚(かたうお)」や、煮てから干した「煮堅魚(にかたうお)」、煮堅魚の煮汁を煮詰めた「堅魚煎汁(かつおのいろり)」などが作られていました。現在の鰹節に近いものが作られるようになったのは室町時代と言われており、その後、江戸時代中期に紀州(今の和歌山県)の漁民が、煙で燻して作る「焙乾法」を考案して土佐藩(今の高知県)に伝えたところから発展し、それまで日持ちが悪く、遠くまで運べなかったものが、長持ちするようになり、各地へ広まっていきました。
鰹節の栄養価
さまざまな料理に使われる鰹節ですが、どのような栄養素が含まれているのか気になる方も多いのではないでしょうか?鰹節には、筋肉や血液をはじめ骨を作るために必要なたんぱく質や血圧を下げるカリウム、骨の健康を保つビタミンDなどが豊富に含まれています。他にも、体内では作ることができない必須アミノ酸が9種類含まれており、さまざまな健康効果が期待できます。中でも食欲を抑制させるヒスチジンや脂肪燃焼効果のあるリシンは、ダイエットに貢献すると言われています。鰹節の栄養価を知り、日々の食生活に役立てていきましょう。
鰹節の工程
鰹節ができるまでには、さまざまな工程を経ています。続いて、鰹節の硬さの秘密である製造工程を見ていきましょう。
鰹の吟味
近海で獲れた鰹は氷水で冷やし、遠洋で獲れた鰹は急速冷凍をして運びます。鰹節に向く鰹は大きさが決まっており、本節は4.5~6kg、亀節で2kg程度です。これ以上大きいものは、芯まで乾燥させることができません。また、脂肪分が多いものも鰹節には向かず、脂肪含有率は3%前後のものが良いとされています。
生きり
持ち帰った鰹は、頭と内臓を取り除いてから水洗いをします。3枚おろしにしたあと、血合い部分から背側と腹側とに切り分けると、それぞれ2本ずつ、計4本の節が出来上がります。背側は背節(雄節)、腹側は腹節(雌節)と呼ばれています。
籠立て
生切りが完了した鰹を煮籠に並べていきます。一見、簡単そうに見える作業ですが、鰹節の形が決まる大切な工程です。ねじれていたりすると出来上がりが悪くなるので、丁寧に作業を行っていきます。また、この段階で原魚の最終チェックも行います。
煮熟
籠立てをしたあとは、鰹のサイズや鮮度などによって、75~98℃のやや低温のお湯で60~90分ほど煮熟をします。100℃にしないのは、沸騰するまで温度を上げてしまうと、煮くずれが起きやすくなるためです。ゆっくり時間をかけて煮熟することで、旨味がよく染みこんだ鰹節が出来上がります。
骨抜き
煮熟を終えた鰹を、骨抜き盥と呼ばれる水槽に入れます。皮やウロコ、皮下脂肪をはじめ、汚れなどをきれいに取り除き、身をくずさないように1本ずつ骨を抜きます。皮はある程度残しておき、焙乾の時に乾き具合と品質を判断するのに利用します。
水抜き・焙乾
焙乾とは、薪にナラやクヌギをはじめ、サクラなどを使って燻すことです。骨抜きをした鰹は鮮魚と同じくらい水分を含んでいるので、しっかり乾燥させるために繰り返し焙乾していくのですが、最初に行う焙乾を特に「水抜き焙乾」と呼んでいます。
修繕
身が欠けたり、傷がついたりした部分をそのままにして次の工程に進むと、身割れなどが起きる場合があるため、水抜き焙乾をした翌日に修繕を行います。煮熟肉と生肉を混ぜてペースト状にしたものを鰹に塗っていきます。
間歇焙乾
修繕が完了した鰹を再度焙乾をします。中までしっかり水分を取るには、休ませながら繰り返し行う必要があります。焙乾が終わった節は、表面がザラザラとしているのが特徴で、荒節もしくは鬼節と呼ばれています。この荒節を削ったものがスーパーなどで売られていますが、この段階ではカビをつけていないので、まだ発酵食品ではありません。
削り
焙乾の工程が完了した荒節は、半日ほど乾燥させた後、2~3日程度放置することで、湿気を吸って柔らかくなりますので、表面のタール分や滲み出た脂肪分などをきれいに削り落としカビを付けやすくします。削り終えた荒節は、裸節もしくは赤むきと呼ばれています。
カビ付け・日乾
裸節を再び3日ほど干してからカビ付けをして、そのまま温度、湿度が管理されている室で貯蔵します。夏場だと6〜10日で最初のカビ(一番カビ)が付き、カビが成長していく過程で、乾燥や発酵、熟成が進みます。その後、ムシロなどの上に節を並べて日干しをして、ブラシなどでカビを丁寧に払い落とします。鰹の大きさによってこのカビ付けと日乾を3回から6回ほど繰り返して行います。
本枯節
約6ヵ月の工程を経て本枯節の完成です。本枯節は、最終的な含有水分は15%ほどまで低下しており、たたき合わせるとカーンという硬い音を鳴らします。こうして世界一硬い発酵食品ができあがるのです。
鰹節を削って食べてみよう
約6ヶ月に及ぶ長い工程を経て作られた鰹節は、奥深い味わいに仕上がります。出し汁や冷や奴をはじめ、お浸しなどさまざまな料理に使うことができるので、ぜひご自身で削って食べてみてください。
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