『へしこ』とは?福井の名産品を解説!
福井の名産『へしこ』とは?
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日本各地には、それぞれの気候や風土に合った郷土料理があります。福井県若狭地方で生まれた『へしこ』もそのひとつ。家庭によって味付けや漬け込み期間が異り、まるで漬け物のように『我が家の味』が存在する『へしこ』。酒の肴やごはんのお供としてはもちろん、パスタに混ぜたり、チャーハンの具にしたりと、様々なアレンジ料理にも使える万能食品と言えるでしょう。ここではそんな『へしこ』を掘り下げてご紹介します。
目次
極寒地に暮らす人々を支えた保存食『へしこ』
郷土料理と聞くと、ほのぼのとした田舎料理のイメージがありますが、雪深い地域で生まれた『へしこ』は厳しい冬を乗り越えるための保存食であり、そこに暮らす人々の貴重な栄養源でもありました。秋口から冬にかけて仕込みが行われるその作り方は、まず、新鮮な鯖などの青魚の内臓を取り除いて1~2週間塩漬けに。その過程で、魚の酵素が蛋白質を分解しアミノ酸が生成されます。その後、糠(ぬか)に調味料を混ぜたもので漬け込んで数カ月から1年以上もの間熟成させるのですが、その間、糠の乳酸菌が魚の蛋白質を分解し旨味が生まれます。また、『へしこ』に使用される鯖などの青魚にはDHAなどの生活習慣病予防に効果があるとされる必須脂肪酸が含まれ、更にはビタミンB群やミネラルなど、糠に含まれる栄養素も加わり、現地に暮らす人々の健康を支えてきました。しかし、保存食なので塩分が高いのでは?と心配になるところですが、『へしこ』を加工前の生魚と比較すると、アミノ酸が2.5倍、ペプチドは5倍も増え、そのペプチドが血圧の上昇を抑えるという研究結果が出ています。
『へしこ』の作り方にその語源があった
『へしこ』という名前の語源は、魚を塩漬けにするときに染み出る液体を指す『干潮(ひしお)』が訛ったとする説や、魚を樽に入れ重石をのせて漬け込むことを意味する『圧し込む(へしこむ)』という言葉が変化した説、また、『圧し込む雑魚』を略したものなど所説あります。いずれにしても、その名前は『へしこ』の作り方から来ていることがわかります。
農山漁村の郷土料理百選に選ばれた鯖の『へしこ』
2007年、国民に広く支持されている各地の郷土料理などを選定する農林水産省主催の『農山漁村の郷土料理百選』で、福井県の『さばのへしこ』が『越前そば』と共に選ばれました。数ある郷土料理の中から選出されたことで、その認知度や美味しさにおいて国からお墨付きをいただいたようなものです。
地域おこしの一端を担う郷土食としての『へしこ』
かつては鯖の漁獲量日本一を誇っていた福井県小浜市でしたが、いつしか鯖が殆ど獲れない状態に。しかし鯖は小浜市にとってシンボル的な大切な存在でした。そして、小浜の『鯖、復活』プロジェクトがスタートしたのが2016年。大がかりな鯖の養殖に着手する一方で、鯖を使った加工食品などの販路拡大や情報発信のための地域おこしも幅広く行われました。若狭地方の郷土料理である『へしこ』がその一端を担う主力商品のひとつであったのは言うまでもありません。
まとめ
福井県若狭地方の『へしこ』は、魚を塩と糠で漬け込んで作られる、雪深い地域に住む人々の貴重な保存食として誕生しました。幅広い料理に活用できるアレンジのしやすさも手伝い、今では地域を代表する郷土料理のひとつとして認知されています。『へしこ』はその栄養価の高さでも定評があります。成分などを詳しく調べる手段などがなかった時代でありながら、先人たちの卓越した知恵や経験により作り上げられた『へしこ』。これからも若狭地方のソウルフードとして愛され続けることでしょう。
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