世界と日本のチーズ作りの歴史を解説！

この記事を読むための時間：3分

子供から大人まで、年齢を問わず好まれている食品のひとつにチーズがあります。コンビニやスーパーでは、チーズを使った様々な加工食品やスナック菓子が並び、今や私たちの食生活に欠かせないものとなりました。そんな現代の食生活にはなくてはならないチーズですが、初めて作られたのは、はるか何千年も昔だということをご存じでしょうか。ここでは、チーズの歴史をご紹介します。

チーズは世界で最も古い加工食品！その始まりとは？

大昔、乳を持ち運ぶ際の入れ物として、牛や羊、ヤギなどの胃袋が利用されていました。ある時、時間の経過と共に乳が凝固し、食べてみるととても美味しかった…そんな偶然がチーズの始まりと言われています。実は哺乳動物の胃袋には、乳を固める作用のある酵素が含まれているのです。加工食品とは食品に何らかの加工を施したものですので、偶然に出来た産物とは言え、チーズが人類史上初めて作られた加工食品と言えるでしょう。

世界最古のチーズ作りの痕跡がポーランドに

チーズが最初に作られた年代は明らかにはなっていませんが、紀元前3500年～4000年頃のメソポタミアやエジプトの遺跡から乳製品作りを表す図や壁画が発見されています。同じく紀元前4000年頃の湖上生活者の遺跡からは、チーズ作りに使用されたと考えられる道具の破片が見つかっており、チーズの歴史は少なくともその頃には始まっていたと推測されていました。しかし、2012年にイギリスのブリストル大学などの研究チームが、約7000年前に人類が土器でチーズを製造していた痕跡があったと発表。ポーランドから出土した土器の欠片から大量の乳脂肪分が検出されたことから、牛乳を凝固させて乳清を抜く際に使用されたものだと結論付けたのです。また、チーズ製造用の漉し器や肉を調理するための鍋など、目的によって土器を使い分けていたこともわかったのだそう。ただ、チーズ作りの始まりがその時代だったかどうかは定かではなく、証拠が発見されていないだけで、もしかすると更に時代を遡ることになるのかもしれません。

初めて作られた日本最古のチーズ『蘇』

紀元前3000年頃、意外なことに西アジアでも既にチーズが製造されていました。古代モンゴル族をはじめ、チベットやネパールでも作られていたのです。しかし、日本に伝来したのはその何千年も後の539年、日本最古のチーズと言われる『蘇』が百済より朝廷に献上されました。しかしそれは酵素で固められたものではなく、煮詰めた牛乳を固めただけのものだったようです。その後、645年に呉からの渡来人によって牛乳が持ち込まれ、平安時代には『蘇』などの乳製品が日本でも作られるように。現存最古となる当時の医学書 『医心方』では、『蘇』が全身の衰弱を補うなど、健康に良いとされていたようです。

日本でチーズが爆発的に広まった理由

生活水準が上がり、日本人の食生活が大きく変化した昭和50年代、チーズの消費が爆発的に増えました。ピザやチーズケーキといったチーズを使用した加工食品が普及したと同時に、チーズを料理に取り入れる習慣が根付いたことが理由と考えられます。

まとめ

はるか昔に偶然作られたチーズは、世界各地で長年食され、その美味しさと栄養価の高さ、アレンジのしやすさも相まって爆発的に広まりました。日本に入ってきた頃には薬のように珍重され、庶民が口にできる機会はなかったようですが、今では私たちの生活に欠かせない食品のひとつとなり、専門店もできるほどの人気食品になったチーズ。今後も私たちの舌を楽しませてくれることは間違いありません。